森田正馬(Wikipedia)
もりた まさたけ(通称:しょうま)(1874年 – 1938年)。神経質に対する精神療法である「森田療法」を創始した。
東京帝国大学医科大学を卒業。東京帝国大学では呉秀三門下。巣鴨病院に勤務。根岸病院顧問(1906-29)。東京慈恵会医科大学教授を務める。自らも神経質に悩んだ経験を持つ。精神分析学には批判的であり、東北帝国大学教授丸井清泰と論争を行った。
森田療法
森田療法は、対人恐怖や広場恐怖などの恐怖症、強迫神経症、不安神経症(パニック障害、全般性不安障害)、心気症などが主たる治療の対象。最近では、慢性化するうつ病やガン患者のメンタルケアなど、幅広い分野に有効と言われています。
不安を抱えながらも行動し、建設的に生きることを教え、実践させる治療方法。「あるがまま」という心を育てることによって神経症(不安障害)をのりこえていくことが主眼です。
森田療法には、大きく「入院療法」と「外来療法」の2つがあります。森田療法は元来、入院療法が基本でしたが、入院先などの問題もあり、最近では通院治療(=外来療法)が中心になりつつあります。
(・ω・)最初に、入院療法から紹介します。
入院療法は、第1期〜第4期までの治療期間で構成されています。
第1期(絶対臥褥期:ぜったいがじょくき)
患者さんは終日個室に横になったまま過ごします。食事、洗面、トイレ以外は一切の気晴らしは禁止。「不安や症状は起こるままにしておく」。最初の1〜2日は心身の安静が得られますが、3日〜5日目頃には過去や将来に様々な連想が広がり、しばしば強い不安や苦悩に襲われるようになります。
第2期(軽作業期)
4日〜1週間程度の期間。心身の状態を多少欲求不満状態において、活動欲を促すことが目的とされます。患者は庭に出て外界の観察を行い、徐々に軽い仕事をしていくのですが、作業に関しては外から課すのではなく、自発的に気づいた事に向かわすのが原則です。
この時期から日記を書くよう指導されます。週に1〜3回程度、主治医との個人面談も行います。この頃には不安が再燃したり、作業に疑問を抱いたりと心が揺らぎやすい時期にあたります。この時に、不安や疑問をそのまま抱えながら体験を積み重ねるよう指導されます。
第3期(重作業期)
1〜2ヶ月間程度。軽作業期とは違い、他の患者さんとの共同作業が大きなウェートを占めるようになります。具体的には、小動物の世話、園芸、木工や陶芸、料理など様々なものがあり、起床、配置、風呂掃除などの当番も分担します。
この時期の目的のひとつは、仕事に対する価値感情を棚上げにして、何にでも取り組み、達成感を体験することにあります。またこの時期はテンポのよい現実に即した臨機応変の態度も指導されます。この過程は実践を通じて、患者さんの症状中心のあり方から事実に即した態度へと転換をはかることが目的となります。
第4期(社会復帰期)
1週間〜1ヶ月程度です。この時期は外出、外泊を含めて社会復帰への準備期にあてられ、事情に応じて院内からの通学、通勤なども許可されることもあります。
※補足
現在は「森田療法」と呼んでいますが、考案者である森田先生自身は「自然療法」とか「体験療法」とか言っていたそうです。
「入院」という表現も微妙で、実際には森田先生の自宅に患者さんを集めて一緒に生活していたとのこと。
まとめ、次回予告
「気晴らし禁止!ずっと寝てろ!」という絶対臥褥期とか「とにかく体を動かせ!」という重作業期とか、見ての通りけっこう激しい。現在は、こうした古典的な森田療法が行われている施設は極わずか。外来通院向けにアレンジされた手法が主流となっています。ただし森田療法の理論を理解し実践するためには、まず入院での森田療法の流れを把握しておくことが求められます。
森田療法においては「あるがまま」が重要なキーワード。これ、とっても深い意味がこめられています。
次回、より細かい内容を紹介していきます。
以上。