rTMS療法

rTMS療法をご希望の方へ

現在の主治医の紹介状が必要となります。紹介状を頂いた後、お電話にて診察の予約をして下さい。担当医が詳細を問診した上で、rTMSを行うかどうかを決定します。大うつ病と診断されている患者さんが対象ですので、双極性障害をはじめとした大うつ病以外の診断の患者さんはrTMSの治療を行うことができません。

なお、rTMSに関しての電話での一般的な問い合わせにはお答えできません


医療関係者の方へ

rTMS療法を希望の患者さんの紹介状をお願い致します。不明な点等ございましたら、精神神経科医局までご連絡下さい。




rTMS療法について

要点

  • 現在かかりつけ病院において大うつ病の診断をされていることが必要です。(双極性障害など他の気分障害は不可)
  • 抗うつ剤で十分な効果が認められない成人(18歳以上)の患者さんが対象となります。
  • 軽症うつ病エピソードや持続気分障害軽症例などの患者さんは対象外となります。
  • 当科への紹介状が必要です。
  • 外来加療ではなく入院加療でのみ行っています。
  • 保険診療として行っています。
  • 刺激治療は6週間です。
  • 入院期間は前後の検査を合わせて約8週間です。
  • 原則4人大部屋での入院になります。
  • 治療反応率は一般的に薬物療法なしの場合で約2~3割、薬物療法ありの場合で約3~4割です。
  • 適応は当科外来で判断しますので、受診後、適応にならない場合があります。

本文

反復性経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation 以下、rTMS)rTMSとは、8の字型のコイルに電流を流すと周囲に磁界が発生し、その作用で脳の局所に微弱な電流(渦電流)が生じます。それにより脳の神経細胞を刺激して機能を調整します。

精神科領域では前頭前野という脳部位をrTMSで刺激することによりうつ症状を改善する効果があると言われています。

rTMSは安全で副作用が少なく、薬物療法の効果が十分でないうつ病の患者さんを対象として薬物療法と同等の有効性が確認されました。アメリカやカナダなどではうつ病に対する治療法として保険承認を受けています。その理由は、薬物治療抵抗性うつ病の患者さんに対して薬物治療と同等の効果を示したことと、重篤な有害事象を認めなかったからです。

佐賀大学医学部附属病院では2013年より、2020年8月まで治療抵抗性うつ病の患者さんに対してrTMS治療を保険適応外の装置を使って研究を行ってきました。日本においても、2019年6月にNeurostar TMS装置によるうつ病治療が保健適応となりました。

rTMS

当院精神神経科においては、2020年9月からNeurostar TMS装置を導入し、適応を満たす大うつ病の患者さんを対象としてrTMSの有効性の確認と、神経画像、脳波、認知機能、血液、唾液及び髄液(髄液採取についてのみ任意としています)中のバイオマーカーを測定し、その作用メカニズムを探索する臨床研究を開始しました。また、治療終了後、約1年後に外来にて精神状態評価、唾液、血液採取、神経画像検査を行っています。

rTMSの治療対象となるのは、抗うつ剤を使用した経験があって、十分な効果が認められない成人(18歳以上)のうつ病患者さんです。ただし、双極性感情障害、軽症うつ病エピソード、持続気分障害などの軽症例や、精神病症状を伴う重症うつ病エピソード、切迫した希死念慮、緊張病症状、速やかに改善が求められる身体的・精神医学的状態を認めるなどの電気痙攣療法が推奨される重症例を除きます。

rTMSは入院下のみで行い、全例実際の治療を6週間受けて頂きます。ただし、第3週目の評価において、寛解した場合は中止または漸減します。また、第3週目の評価において、治療開始前の評価より改善が20%未満の場合には中止します。入院期間は前後の検査を含めて約8週間で、原則として4人大部屋での入院となります。

rTMSは侵襲が少なく安全な手法でありますが、rTMSと関連した合併症として頻度が高いものとして、頭皮痛が挙げられます。これはrTMS刺激が頭皮や顔面の筋肉を収縮させることによって、刺激部位周囲に感じる痛みですが、痛みは刺激中のみであり特別に心配はいりませんし、慣れの効果によって痛みは軽減します。また、(筋緊張型)頭痛と首の痛みも生じることがありますが、これらの症状は一過性であり、通常の鎮痛剤によって改善することができます。頻度は大変少ないですが、けいれんを誘発する危険性があります(患者さん1人あたり0.1%未満と言われています)。

rTMSの治療ができない場合としては、頭蓋内の磁性体(口腔内は問題ありません)と、ペースメーカーなどの体内埋め込み式医療機器が挙げられます。場合によっては行えるものとして、てんかんや頭部外傷、妊娠などがありますが、担当医が詳細を問診した上で、rTMSの適応の可否を判断いたします。

以上のように、rTMSは、副作用が少なく、非侵襲的であり、うつ病治療の選択肢の幅が広がることが期待されます。

治療反応率は一般的に薬物療法なしの場合で約2~3割、薬物療法ありの場合で約3~4割と言われています。

尚、当科でrTMS治療を受けられる場合は、紹介状が必要となります。また、rTMSに関して電話での一般的な問い合わせにはお答えできませんのでご了承下さい。

研究協力のお願い(2022年3月8日記載)

この度当院では、慶應義塾大学病院精神・神経科など全国の各病院と共同で、「TMS療法関連データベース・レジストリ構築に関する研究」を行うこととなりました。「京都大学大学院医学研究科・医学部及び医学部附属病院医の倫理委員会」の審査にて承認を受け、研究実施機関の長(病院長等)の許可のもと、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」および法令を遵守して実施しますので、ご協力をお願いいたします。この研究を実施することによる、患者さんへの新たな負担は一切ありません。また患者さんのプライバシー保護については最善を尽くします。

研究の詳細については、以下のリンクをご参照ください。(佐大版)オプトアウト文書

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