研究紹介

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In vitro実験系での薬理学的研究(分子細胞薬理学研究グループの活動)

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九州大学大学院医学研究院・精神病態医学分野・分子細胞学研究グループの初代グループリーダーである門司晃(現佐賀大学精神医学講座教授)により、アルツハイマー病に関わるアミロイド・ベータ蛋白(Aβ)の凝集状態やフリーラジカル産生に関する基礎研究を原点とし、神経炎症や酸化ストレスに着目した研究が開始され、その後、精神疾患の神経炎症仮説にもとづき、向精神薬によるミクログリア活性化制御機序解明にテーマが大きく展開した。九州大学で医学博士号を取得し、生理学研究所等で研鑽を積んだ溝口義人(現准教授)は、細胞内カルシウムイオン動態測定法を研究室に導入し、脳由来神経栄養因子(BDNF)がミクログリア細胞に直接効果を有することを初めて報告した(J Immunol 2009)。また原口祥典は認知症治療薬Donepezilのミクログリアへの効果を検討し(J Neuroinflammation 2017)、平成30年に医学博士号を取得した。今後はヒト末梢血由来のミクログリア様細胞(induced microglia-like cells:iMG 細胞)を活用し、高齢者のうつ病および認知症の病態解明に繋がる新たな知見を得たいと考えている。

佐賀県伊万里市黒川町での高齢者の精神的健康に関する長期疫学縦断研究(黒川町研究)

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当科では平成16年(2004年)より佐賀県伊万里市黒川町において、高齢者の精神的健康に関する長期疫学縦断研究を行っている。これまで65歳以上の地域在住高齢者の認知機能検査(MMSE、FABなど)、うつ病自己評価(BDIなど)および頭部MRI撮影を行うとともに、生活状況、生活習慣あるいは死生観、生活満足度などの調査を実施し、血清および唾液を採取し保存してきた。今村義臣(現非常勤講師)は健常高齢者のwell-beingと、宗教性および生物学的指標との関連を報告(Int J Geriatr Psychiatry 2015)し、さらにオキシトシンと行動特性の関連について研究を進展させている(Int J Geriatr Psychiatry 2017; 令和2年に医学博士号を取得)。鍋田紘美(元博士研究員)は、女性健常高齢者の唾液中コルチゾール濃度と将来の抑うつ状態の関連について報告(J Affective Dis 2014)し、平成25年度に医学博士号を取得した。今後は、血中および唾液中のバイオマーカーと頭部MRI画像の解析結果の関連に着目し、高齢者のうつ病および認知症の病態解明に繋がる新たな知見を得たいと考えている。

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