医局日記

【文化ネタ】~佐賀県の民謡~

岳の新太郎さん


ビクター少年民謡会 民謡お国自慢 第2集より 岳の新太郎さん(ざんざ節)

教育芸術社 郷土の音楽:佐賀県 より
佐賀県民にいちばんしたわれ,歌われている民謡は,「岳の新太郎さん」です。
佐賀県の一番南にある多良岳(たらだけ)の山すそに伝わる民謡で,江戸時代中期に流行したザンザ節の一つです。ザンザ節というのは,今から200年ほど前に流行した唄で,伊勢神宮の木挽き唄(こびきうた)が元になっています。「新太郎さん」とは,多良岳の山奥にある,お坊さんが修行するお寺「金泉寺」に仕える,とてもハンサムな若者のことです。その金泉寺は,女人禁制だったので,地元の女の人は登ることができませんでした。「ザンザ」という囃はやしことばは、登り道にある水車の水音と,新太郎さんに恋する娘さんたちの心のざわめきを表しているといわれています。


民謡編<312>岳の新太郎さん(下)2016/11/21 より
約200年前、新太郎は多良岳の頂にある金泉寺の寺侍だった。寺侍というのは寺に仕える武士ということだ。 太良町内の道の駅にはイメージ化された新太郎の銅像が建っている。端正な顔立ちの美男子である。この民謡はハンサムボーイだった新太郎への歌によるラブレターみたいなものである。

岳の新太郎さんの下らす道にゃ ざんざ ざんざ
金の千灯籠ないとん 明れかし
色者の粋者で 気はざんざ アラ ヨーイヨイヨイ ヨーイヨイヨイ

岳の新太郎さんの 上らす道にゃ ざんざ ざんざ
道に水かけ 滑らかせ
色者の粋者で 気はざんざ アラ ヨーイヨイヨイ ヨーイヨイヨイ

岳の新太郎さんね 高木の熟柿 ざんざ ざんざ
竿じゃとどかぬ 登りゃえぬ
色者の粋者で 気はざんざ アラ ヨーイヨイヨイ ヨーイヨイヨイ

~山に帰るときは道に水をまいて滑りやすくして、帰りを遅らせよう-。
~しかし、こんなに思っているのに、高い木の熟柿のように届かない人だ。


歌になるほどのハンサムとは凄い。イパネマの娘の逆パターンだ。


たんす長持ち唄


佐賀箪笥長持唄 Saga Tansu Nagamochi Uta



ご当地ソング・都道府県別のうた より

『長持唄(ながもちうた)』は、昔の結婚式における花嫁行列(嫁入り行列)で、長持(ながもち)の担ぎ手が歌っていた縁起の良い歌・祝い唄。『長持唄』と題する民謡は全国に存在するが、特に、宮城県の長持唄『宮城長持唄』が有名。他にも、秋田長持唄、箪笥(たんす)長持唄、相馬長持唄、博多長持唄、佐賀箪笥長持唄などが知られている。


タンス長持唄 田嶋さん(太良町)優勝 2019/8/27 より

タンス長持唄は、結婚披露宴で新郎新婦が入場する際に歌い継がれてきた。法被や着物姿の出場者は尺八の伴奏に合わせ、「祝いめでたの若松さまよ」と、1分余りで張りのある歌声を響かせた。


佐賀の民謡を楽しもう、伝えよう


佐賀県庁 図書館 佐賀で歌い継がれた「民謡」をWEB上で公開しています より

佐賀県下の民謡を統計的に調査、収集した『佐賀県の民謡―佐賀県民謡緊急調査報告書―』(佐賀県教育委員会 昭和63年)を基に、デジタル化し、当館のホームページで公開しています。このうち、800曲には音声が入っており、地域の方々の“味わいのある”歌声を楽しんでいただけます。いつでも、どこでも、だれでも利用できるようにデジタル化を進めておりますので、これを機に、自分たちの住む地域の「佐賀の民謡」に親しんでいただき、小学校や幼稚園などでご活用いただくことで伝統文化の伝承につながることを期待しています。


県庁が緊急調査するほど、文化衰退の危機ということなのだろう。たぶん。
佐賀の文化、大切に伝えていきましょう(・ω・)