医局日記

【勉強会】~お薬の”剤形”~

飲み薬が全てではない。お薬には様々な投与方法がある。
精神科で使われる、お薬の”剤形”について簡単にまとめます。
学生さん必見。(国家試験に出るかも?)


注射薬

精神科においては”筋肉内注射”がメジャーな投与方法です。
(静脈内注射も出来なくは無いのですが、点滴ルートを確保してからでないと投与が難しいので、精神科病棟では稀。)

8月24日の記事でも紹介したように、持効性注射剤(LAI)というタイプもあります。
注射は痛い…と敬遠されがちですが、「確実に一定の効果が期待できる」というのは大きなメリットです。


貼付剤

「肌に貼って精神症状を治すだと!?」
あるんです。対象となる疾患は限られていますが…。
注射と同じく「一定時間、確実な効果が期待できる」というメリットを持ちつつ、ちゃんと貼ってあるか(貼り忘れたor剥がれた)が一目で確認できる、というのも利点。ついつい薬を飲み忘れてしまう、でも注射は嫌だな…という人にオススメ。

注意すべき点としては、”接触性皮膚炎”など、副作用で皮膚が荒れてしまう可能性があること。
肌の保湿を保つ、スキンケアも意識しながら使う必要があります。


点鼻薬

「耳鼻科かよ!?騙されんぞ」と思ったアナタ。

平成28年8月23日 
青年期自閉スペクトラム症への継続オキシトシンスプレーの効果は点鼻用量と遺伝的個人差の影響を受ける


まだメジャーではありませんが、点鼻薬タイプの精神科薬も存在します。今後普及してくるかも。
ただし現状としては、貼付剤以上にマイナー…。日本では未だ使用認可が下りていない物も。


内服薬の剤形いろいろ

同じ内服薬と言えど、ちょっと工夫された剤形のものがあります。

液剤タイプ

コップとお水が無くても、サプリを飲む感覚でその場で直ぐ内服できる。飲みやすい。
ただ、1つ1つパックに入っているので嵩張る。1か月分処方すると、持って帰るのが大変かも…。


口腔内崩壊錠(OD:Oral Disintegration)

倉敷平成病院だより 2016年9月16日 OD錠って何?

ラムネみたいな感じで、口に入れるとシュワッと溶ける。ので、液剤タイプと似て、コップとお水が無くても飲みやすい。けど湿気対策が必要。間違えて一度袋から出しちゃうと、ドロドロになっちゃいます。


舌下錠

精神科においては割と珍しい剤形。口から入れるけど、飲み込む必要は無い。
独特な舌のピリピリ感に若干悩まされますが、例えば大手術の後で絶飲絶食…という場合でも、内服薬として投与継続が可能。
大学病院ではこうした特殊な状況に置かれる患者さんが珍しくないため、当初の予想を超えて活用されています。



臨床に不慣れなうちは薬の効き目ばかりに注目しがちですが、使いやすい、継続しやすい、という観点で”剤形から選ぶ”という考え方も、精神科領域においては重要です。
年々、全く新しい作用機序のお薬や、成分は同じでも剤形が改良されたお薬、というのが開発されていますので、常に最新情報を取り入れていきましょう。(・ω・)


以上。