医局日記

【統計学】~検査前確率、検査後確率~

※2020年9月3日追記 一部に計算間違い(検査後確率9.8%→正しくは0.98%)がありましたので訂正しました。

↓参考資料

https://www.yodosha.co.jp/yodobook/book/9784758118330/

スッキリわかる! 臨床統計はじめの一歩 改訂版 羊土社


「検査すれば良いというものではない。検査の使いどころを間違えると役に立たないどころか、偽陽性の人に過剰な治療を行ってしまうなど、むしろ有害な結果を招いてしまう。」
…と書いてあったので、本当かな?と。Excelで数字入れて実際に試してみました。


検査前確率、検査後確率

治療者も患者さんも、「陽性だー!治療すべし」「陰性だった、安心だ!」と検査結果に一喜一憂しがち。
だが、検査結果は絶対ではない。偽陽性、偽陰性が生じる。

2020.08.25

(実際の感染者数)÷(全体の人数)=”検査前確率”

(陽性者のうち、実際の感染者数)÷(陽性者の人数)=”検査後確率”

と呼ばれる。(検査後確率は”陽性的中率”とも言われる。)


例えば、感度99%、特異度99%という超有能な検査を行うとしても、

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感染者が1万人に1人の方は、検査前確率が0.01%。検査後確率は0.98%
つまり陽性だとしても本当に感染している可能性は1%未満という意味。

感染者が100人に1人としても、検査前確率は1%。検査後確率は50%
これだけ感染が流行した状況で陽性が出ても、本当に感染している確率は五分五分。


検査対象を絞り込む

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一番手っ取り早い解決策が、「感染していないかもしれない人」には、そもそも検査しない、という判断。
検査を行う前の診察の段階で「感染しているかどうか半々」つまり検査前確率を50%まで高めれば

上図のように、検査後確率は99%という結果になった。




検査がダメ、という意図ではありません。その目的と、結果に対する正しい解釈が出来ていれば問題ないと思います。


以上。