【精神医学】~精神の発達① 乳児から学童期まで~
金原出版 現代臨床精神医学 第12版
ISBN:978-4-307-15067-5
第3章 精神の発達・加齢と精神保健 より
精神の発達
人の成長は小児科領域における基礎知識。精神科では特に「精神面」の発達を重視しています。
キーワードを中心に簡潔に解説。ヒトの発達段階についてはピアジェ、エリクソン、フロイト、の3人の先生がそれぞれの見地から解説していますが、ここではエリクソン先生の解釈で統一。
乳児期(0~1歳)
自分では何もできないから助けを求め、親がそれに応えてくれる。愛着(Attachment)の形成が大切な時期。
エントレインメント(Entrainment)
…母親に抱かれる、授乳されるうち、赤ちゃんの方も母親を認識して目を合わせたり、母親の声や臭いを識別できるようになってくる。
基本的信頼感
…赤ちゃん側の欲求が満たされていくうちに、生理的な満足だけでなく精神的な安らぎも感じるようになる。与えてくれる親、与えられたものを受け入れる自分自身も含め、信頼関係が養われていく。
「3ヶ月微笑」
…生後3ヶ月目、周囲を目で追いかけ、微笑むと微笑み返してくれる。親だけでなく、誰でも。
「選択的微笑」(LITALICO発達ナビより)
…生後5~6ヶ月頃になると、誰に対しても微笑むわけではなくなってくる。
「8ヶ月不安」
…この頃から人見知りがはっきりしてくる。自分を助けてくれない人には不信感が芽生える。
幼児前期(1~3歳)
1歳…ひとり立ち、片言を話す。1歳半…ひとり歩き、トイレが自立してくる。2歳…2~3語文を話す。
離乳し、自律性の獲得の時期。恥の感情が芽生える。「しつけ」が重要とされる。親に要求してばかりではなく、親が喜ぶよう自分の欲求をがまんすることが出来るようになっていく。しつけが出来ないと我慢強さが形成されないが、しつけが厳し過ぎても自信喪失してしまい自律性が育たない。
幼児後期(4~6歳)
3歳…自分の名前、性別が言える。身の回りの物の命名ができる。4歳…数をかぞえ、図形を模写できる。
第1反抗期…自我が芽生え、両親に反抗して自己主張する。
家庭の外で他の子供と接触し、社会性が育っていく。「ごっこ遊び」など、大人の言葉や行動を真似るようになる。
「積極性の時期」…人物、物事を認識し、価値観が生じる。過去、未来、結果などの概念をもつ。目標を攻撃・征服しようとするのが中心となる。
学童期(6~12歳)
「勤勉の段階」…物事の成就、成功への希求が、この時期の特徴。失敗が重なると劣等感に繋がる。
言語、知能は発達し、親や家庭から独立し学校という集団で生活できるようになる。
自分、他人、男女の性別意識がはっきりしてくる。遊びもゲーム、スポーツなど共同で楽しむ、競うものが多くなり、勝ち負け、自分の能力、性格などが自覚されてくる。
この時期、親や家庭を離れ他人との共同生活に適応できないと「いじめ」「不登校」などが生じる場合がある。
小学校高学年になると、成人と同じような精神疾患も出現しはじめる。
まとめ
精神科において「成育歴」は大事な情報。予診を担当する学生さん達にも必ず聴取してもらっています。正しい診断に繋げるために「母子手帳」「学校の通知表」を保管しておくことを推奨。発達のどこかで躓きがあった等、背景が分かれば適切な支援、治療に結びつきやすくなります。
思春期、成人期、老年期については後日解説。勉強がんばるぞ
以上。