医局日記

【精神医学】~クライシスプランの勧め~


山梨県立北病院 クライシスプランを用いた退院支援より


クライシスプランとは

入院を繰り返しがちな患者さんに推奨される取り組みである、クライシスプランについて紹介。
解説を始める前に…


実際に見た方が早い。(Google画像検索してみよう!)



群馬県立精神医療センターより


医療法人社団八葉会 大石記念病院 より


こんな感じです。では解説

公益社団法人 日本精神保健福祉士協会
医療観察法対象者における障害福祉サービスの活用状況の実態把握と受け入れを促進させるための方策に関する研究(pdfリンクあり)より

近年、主流となっている『クライシスプラン』は、精神症状及び状態悪化のレベルごとに、
①一般対応レベル
②緊急受診レベル
③入院必要レベル
などのように3~5段階の表形式で区分し、それぞれについて、対象者の
「病状悪化の注意サイン」
「対象者(自身)家族等の対応」
「通院(地域)処遇に関わる関係機関のスタッフ(援助者等)の対応」
などを詳しく記載し、「各関係機関の連絡先一覧」も加えて作成されるもので、(地域)処遇における対象者の病状急変時等の緊急時における対応の重要な指針となっています。



患者さんと一緒に、みんなで作る

患者さん本人、支援者(ご家族、主治医、心理師、看護師、ソーシャルワーカーなど)、みんなで一緒に話し合って作る計画書です。
「調子が悪かったとき、どんな感じだったか」を振り返ることにもなるので、心理教育としての効果も期待できます。



青信号、黄色信号、赤信号

症状が安定しているとき)
黄色症状が不安定になったとき)
(明らかに症状が悪いとき)

基本、この3段階に分けて振り返り、症状の変化に「早めに気付く(本人が自覚する、周りが気付く)ためのサイン」を考えます。
特に大事なのが黄色信号。まだ余裕があるうちに早めの対処、治療に結び付けましょう。



具体例

睡眠時間:青(7時間)、黄色(4時間)、赤(昼夜逆転、全然眠れていない)
食欲:青(3食規則正しい)、黄色(不規則)、赤(体重変化。1週間で±2kg)
通院:青(毎月、時間通り)、黄色(休みがち、遅刻しがち)、赤(ドタキャン)



対策(自分でやること、周りにやってもらうこと)

自分で:頓服薬を使う、電話で相談する、受診を早める
周りで:訪問看護を多めにする、入院の予約をとっておく


まとめ、ポイント

こうした対策、計画書を作っておくことで、患者さん本人も、周りの支援者も、「こんな時どうすれば良いか」を共有できるようになります。信頼関係を深め、早めの対応・治療による長期的な症状安定に繋がることが期待されます。双極性障害など、症状に波がある人の場合はライフチャート(10月6日の日記参照)も併せて使うと良いでしょう。

以上。