【科学ネタ】~相対性理論入門~
「光の速度は誰から見ても同じ」「光の速度は超えられない」「E=mc^2」あたりは有名だと思うけど、具体的に何が起きるんだ?という点を中心に、知ったかぶれる程度のキーワードを解説。
特殊相対性理論と一般相対性理論
「特殊」は、等速直線運動を扱ったもの。高校生の数学の知識でも理解可能。「一般」は重力、加速度といった性質まで含めた理論で、超難解。
アインシュタインの発明・発見…ではない。
「天才アインシュタインが考えた、トンデモ理論!」…と誤解している人が少なくない気がする。
相対性理論が生まれた背景には、19世紀頃に盛んになった「光の性質」に関する実験・研究の結果がある。マイケルソン・モーリー(Wikipedia)とかヘンドリック・ローレンツ(Wikipedia)とか、いろんな科学者が研究を重ね、「なんか変だぞ?光速の世界では、ニュートン力学じゃ説明がつかん…」と悩んでいたところ、「そもそも時間がズレるんじゃね」と解釈し、理論をまとめたのがアインシュタイン。20世紀初頭に理論を纏め上げた点においおては確かに天才だが、遅かれいずれ誰かが発表したであろう、とは言われている。
ちなみにアインシュタインは相対性理論でノーベル賞を取っ…てない。当時、大勢の科学者から理解されず、受け入れられず、苦労したらしい。
ブラックホールの存在を予言…してない。
2019年4月に人類史上初めて、ブラックホールの撮影に成功(BBC NEWS)。一部で「やはりアインシュタインは正しかった!」と言われていたけど、アインシュタインがブラックホールの存在を予言していたわけではない。予言したのはカール・シュヴァルツシルト(Wikipedia)さんです。「一般相対性理論が正しければ、光も吸い込むすっげぇヤバい星が存在しうる、ってことだよね!」と。アインシュタイン自身はむしろ否定的な意見だった。けど自分が言い出した理論による計算結果だったので「ぐぬぬ」と渋々認めざるを得なかったようです。
ローレンツ収縮
「動くものの長さが縮む」という法則。動いている側から見れば「空間が縮む」。これに対し「じゃあ光速で車庫に突っ込んだらどうなるんだ?車から見れば車庫が縮んで入りきらない、車庫から見れば車が縮んで入りきる。矛盾してるじゃん」…というガレージのパラドックスが有名。
双子のパラドックス
「高速で移動すると時間の流れが遅くなる」のが相対性理論の常識。「それなら動いてる側から見れば、止まっている相手の時間が遅れるんでしょ?矛盾してない?」という有名なツッコミ。これは時空図を書くことで理解できる。結論から言うと「移動している間は時間がズレているから矛盾しないし、戻ってきて合流したときにズレが明らかになる」のが正しい。
(リトルコスモス 光速度不変編 より画像)
時空図
位置と時間のズレをグラフで分かりやすく示す方法。この描き方が分かれば特殊相対性理論の理解は完璧だ。(たぶん。)
加速し続けたら、どうなる?
「光の速度を超えられないなら、宇宙船に乗ってずーっと加速し続けたとき何が起こるんだ?」との疑問にお答えしよう。
まず外から見ている人にとっては、加速していく宇宙船は光速に近づくにつれ、だんだん加速が鈍くなる。やがて光速の99.99999…%と、限りなく光速に近づくが、超えることはない。
宇宙船の中の人から見ると、体感では加速し続けている。やがてローレンツ収縮によって周りの空間が縮んで見えてくる。加速すればするほど目的地までの道のりが短くなり、100光年先であっても数年、数か月で辿り着ける。しかし到着していざ船を降りると、宇宙船の外では100年以上の時間が経っている。
ワープ航法「アルクビエレドライブ」(Wikipedia)
相対性理論が正しければ、どれだけ高速な宇宙船を作っても時間がズレちゃうので、長旅ができない。これを解決するためにはワープするしかない。…そして実際、「理論的には可能」という説。メキシコの物理学者、アルクビエレさんが提唱した。「宇宙船を加速させるんじゃなくて、宇宙船の前後の空間をねじ曲げる」という方法。これなら相対性理論に矛盾せず、時間のズレを生じずに宇宙の旅が可能となる。
問題は「必要なエネルギーがビッグバンを超える」という点。うん、やっぱり難しいかも。
(Amazonより)
現代でも続く否定論
「相対性理論は間違っている!」「いやその理屈はおかしい」と、相対性理論を否定する意見は21世紀の現代でも存在している。まぁ、ぶっちゃけ正しいか間違っているかなんて誰にも証明できない。物理学における理論てのは、「現象の説明がつく、再現性がある」という実用性の有無で価値が決まる。将来、相対性理論で説明しきれなかった部分までカバーした新たな理論が生まれるかもしれない。(興味がある人は超弦理論(Wikipedia)を調べてみよう!)
まとめ
相対性理論を個人で勉強しても、実生活で役に立つわけではない。けど「感覚的には理解が難しい」ものを理解しようとする体験は、それまでの常識、思い込み、といった無意識の殻を破ってくれることでしょう。思考を豊かにしてくれる現代の教養、それが相対性理論なのである。
以上。
※参考資料