【災害医療】~災害の種類まとめ~
(版元ドットコム より画像)
日本医師会雑誌 149巻・特別号(1) 災害医療2020 2020年6月15日発行
災害、というと地震とか噴火とか、そういうのをイメージしがち。
だが実際には様々なケースがあり、それらを想定しての対策が求められる。
今回は基礎知識として、災害の種類と特徴についてまとめます。
大規模イベント
多くの参加者、観光客が集まるイベント。災害かコレ?…って思うかもしれないが、人が集まれば傷病者が同時に多数発生する可能性も高まる。災害レベルの救護・医療の需要であるため準備・対策が必須だ。将棋倒し、熱中症、などは勿論、オリンピックのように多国籍の人が集まる場合、テロや暴動、交通事故にも警戒が必要。イベント中に地震などの自然災害、火災が起きる可能性だってある。
人為災害
自然災害以外のものを「特殊災害」と呼び、そのなかで「テロではない」もの。
「医療機関、施設は被害を受けていない」ことが多いため、災害というより事故と表現した方が分かりやすいかも。
現場での救助活動とともに、行政機関と連携を取りながら受け入れ態勢を急ぎ準備する必要がある。
火災
熱傷者への治療は勿論、工場火災の場合には有毒ガス、化学物質汚染への対応も必要になる。
列車事故
脱線転覆、二次崩壊(山崩れ、トンネル崩壊、鉄橋落下)、衝突、燃料搭載車火災などが生じた場合には大きな被害が出る恐れがある。
航空機事故
滑走路上での火災、有毒ガス発生、なども有り得る。墜落事故の場合、周囲の被害も甚大になる可能性が。
高速道路事故
いったん発生すると、一般道路よりも大きな事故につながる可能性が高い。トンネル内での発生、燃料搭載車に引火など、救助活動に困難をきたすことも。
海難事故
衝突、座礁、転覆、などの発生状況は勿論、タンカー事故など海洋汚染を生じる場合も。陸の事故とは異なり、溺水、低体温症への救命が求められる。
産業事故
水道・電気・ガスによる事故、鉱山の事故、発電所事故、工場事故など。場合によっては有害物質が周囲に飛び散ったり、爆発により周辺の建物も損害を受ける。近年では単独の事故は少なく、自然災害(悪天候、地滑り、水害など)が引き金となる。
感染症
注意点として「バイオテロ」の可能性。普段であれば流行しないハズの感染症が急激に大量発生した場合、警戒が必要だ。そうでなくとも発生源、感染経路を速やかに特定し、感染拡大を防がなければならない。
テロ
テロリストにより故意に引き起こされた災害。テロの手段として代表的な、
Chemical(化学物質)、Biological(生物)、Radiological(放射性物質)、Nuclear(核)、Explosive(爆発物)の頭文字をとり、CBRNEテロという略称が用いられている。
傷病者の救助・治療だけでなく、防護服・マスク着用、ゾーニング(安全・危険地域の見極め)、住民の避難・屋内待機誘導などが求められる。
自然災害
日本は自然災害大国。地震、津波、台風、集中豪雨、大雪、火山噴火など。自然災害では医療機関・施設も被災してしまう。救助、避難、安全な地域への移動…全国民が力を合わせねばならない。平時からの訓練、対策が何よりも重要。
忘れがちだが竜巻被害も度々発生している。年間平均23件。夏から秋にかけて、正午~日没の発生が多い。
まとめ
DMAT、DPATなど、災害医療の研修を受け隊員として登録されている医療従事者の方へ。今回まとめた通り、災害といっても大規模な自然災害だけとは限らない。限局的な事故でも招集かかる可能性があります。日頃から新聞、ニュースをチェックし、「もしかしたら出動要請来るかも…どんな準備が必要になるかな?」と考え、備えることが大事です。
災害は起きてから対策しても遅い。起きる前、平時からの訓練・資材確保が重要です。
以上。