医局日記

【院内研修】~医療用ガス、感染症~【医療安全】


2020年度 第3回医療安全・院内感染対策研修。
今年はe-learning(ネット配信)での開催でした。
主に院内職員向けの内容なので資料は公開できませんが、とっても勉強になるものだったので要所を紹介します。

※医療用ガスの取り扱い


PMDA医療安全情報 平成21年10月 ガスボンベの取り違え事故について(pdf)
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・ボンベのラベルを確認しましょう!酸素?二酸化炭素?
残量を確認しましょう!
断熱圧縮による引火に注意!蛇口ゆっくり回しましょう。


※冬の感染症

①ノロウイルス



伊万里保健福祉事務所で43人がおう吐や下痢の症状 2人からノロウイルスが検出【佐賀県】
県によりますと、10月6日から12日までに、この保育所に通う園児38人と職員5人の合わせて43人がおう吐や下痢の症状を発症しました。検査の結果、このうち2人からノロウイルスが検出されたということです。ノロウイルスは、カキなどの二枚貝十分に加熱せず食べることで感染し、おう吐物などを介して人から人に感染が拡大します。


感染性胃腸炎(特にノロウイルス)について
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上記、厚生労働省のサイトで感染対策のパンフレットが公開されています。
ノロウイルスは感染力が高いため、消毒の徹底、汚物処理時の十分な注意が必要です!


②インフルエンザと新型コロナウイルス


新型コロナの厄介さと怖さを知る:2つの致命割合CFRとIFRとは

「これは4月になってから出た中国のチームの研究でも追認されました。二次感染の44パーセントは発症前に起こっていて発症の2.3日前からウイルス排出が増え始め、0.7日前に一番高くなるというんです。潜伏期にも感染力があるということですから、その追跡が難しいということも意味します。本当に厄介なウイルスです」

…新型コロナウイルスとインフルエンザの最大の違いがココ。インフルエンザは発症直後に最も感染力が高くなるが、新型コロナは「発症する前の方が感染力が高い」という反則技。なので引き続き、「みんなでマスクを着用し、手洗いうがいを徹底」するしかない。

NHK インフルエンザ患者数 例年より大幅に少ないも引き続き注意を 2020年11月27日
”分析を行っている国立感染症研究所の砂川富正室長は「インフルエンザの流行は抑えられているが、新型コロナ以外のウイルスが無くなったわけではないので、対策を続けることが必要だ」と話していました。”

新型コロナ対策が進んだ結果、普段流行しやすいインフルエンザは今年少なくなっているようです。…が、安心というわけではありません。(当院では)例年に比べ、外出を控えた影響で「健康診断」「予防接種」を受ける人が減っているみたいです。みなさんちゃんと受けてくださいね!


③マクロライド系抗菌薬の適正使用について

AMR Clinical Reference Center 厚生労働省委託事業

風邪に抗菌薬は効きません

風邪は、ウイルスが鼻やのどにくっついて炎症を起こし、くしゃみ、鼻水、せき、たん、のどの痛み、発熱などがでることを言います。この、「風邪の原因はウイルス」というのが大切なポイントです。風邪の原因は細菌ではないのです。風邪の症状はいずれも、あなたの体がウイルスと戦っているサインです。風邪を治すのはあなた自身の免疫力であり、お薬ではありません。
抗菌薬はウイルスには効きません
抗菌薬は、文字通り、細菌と戦う薬です。ウイルスによって起こる風邪には、抗菌薬を飲んでも意味がないのです。
そうはいっても、「この前風邪をひいたときにはお医者さんが抗菌薬を出してくれたのに・・・」ということもあるでしょう。でも、その時風邪が治ったのは抗菌薬のおかげではありません。あなた自身の免疫力と休息で自然に治ったのです。もし、今度のお医者さんから「風邪なので抗菌薬はいりませんよ」と言われたら、どうかこんな風に考えてみてください。そのお医者さんは、あなたのこと、あなたの家族のこと、そしてあなたの地域のことを、より一生懸命に、より広く、長い目で考えてくれているのです。

小児感染免疫 28 (4):311─318,2017 見直そう,マクロライドの使い方(pdf全文無料公開リンクあり)

マクロライド系抗菌薬は優れた抗菌作用,抗炎症作用を中心とした非抗菌作用をもつため,その登場以来,あらゆる疾患において多用されてきた歴史がある.その結果として,国内外での耐性化が問題となっている.わが国では,諸外国と比較しマクロライド系抗菌薬の使用が多く,その傾向は特に小児領域において顕著である.その結果として,わが国におけるマクロライド系抗菌薬に対する各種病原体の耐性率は諸外国と比較して高い

…「気道粘膜を保護する効果がある」「少量・長期投与が有効な疾患がある」のは事実ですが、「肺炎予防にとりあえずマクロライド!」ではありません。本当に必要な疾患は限られていますので、むやみやたらに使ってはいけない。どんどん耐性菌が増えてしまいます。

抗菌薬の適正使用に、ご協力お願いします!



以上。
業務連絡:職員・学生のみなさん、医療安全e-learningは12月15日が受講締め切りです!