【精神医学】~ポリヴェーガル理論(神経発達)~
肥前精神医療センター@吉野ヶ里町
先日、肥前精神医療センターにて開催された佐賀精神科集団会を受講してきました。
特別講演として、同センターに勤めている佐川先生の「発達性トラウマの視点からの介入」発表が凄く勉強になりました。
一部内容について紹介いたします。
「なぜ人は挑戦できないのか?」神経科学から見た人材育成~ポリヴェーガル理論 2019.10.08
カウンセリング&セラピー AROHAM
HOME/こころのこと/ポリヴェーガル理論とは 2017.12.04 より
ポリヴェーガル理論
アメリカ・イリノイ大学精神医学部名誉教授のスティーブン・ポージェスが提唱した理論。
今まで自律神経による自己調整・環境適応は「交感神経」と「副交感神経」の2種類によって調整されていると考えられてきました。
ポリヴェーガル理論では
「背側迷走神経(副交感神経)」
「交感神経」
「腹側迷走神経(副交感神経)」
の3種によって自己調整・環境適応が行われており、その使用は生命の進化の段階にヒエラルキーが形成されていると説明しています。
胎児も母体の中で魚→トカゲ→ヒトのように、胎内で進化を辿る。
この神経の発達の過程を順序立てて理解することはヒトの落ち着いた状態やストレス状態(圧倒やフリーズなど)を見極めるのに役立つ。また3つの神経系の特徴を知ることで、クライアント(や自分)の自動反応を理解したり、過剰な反応を予防することにも役立つでしょう。
(要約すると…)
背側-迷走神経が最も古い(爬虫類時代)神経で、「動かなくなる(死んだふり、スリープ状態)」。
交感神経は2番目に古い(哺乳類時代)神経で、「戦う・逃げる(緊張・警戒)」。
腹側-迷走神経が最も新しい(人間の)神経で、「他者との関り、安心感(リラックス)」。
https://themovementparadigm.com/how-to-map-your-own-nervous-sytem-the-polyvagal-theory/
”polyvagal”でググったら出てきた。
精神科臨床においては…
具体的な例として、被虐待経験をもつ子供が、非行や自傷に走ってしまうケース。
上記3種類の神経がバランス良く発達していかないと、様々な弊害を引き起こす。
背側迷走神経が過剰にはたらくと「解離症状(意識消失、動けなくなる等の症状)」を引き起こしたり
交感神経が過剰にはたらくと、常に攻撃的、怒りっぽくなり対人トラブルが頻発。
腹側迷走神経が発達しないままだとリラックス、人に心を許すことが出来ないままとなり、いくら支援の手を伸べられても孤立・自滅の道を突き進んでしまったり。
こうした「生きづらい人」というのは、精神科においてはよく出会います。
ここでポリヴェーガル理論を意識すると、「この人はどの神経が過剰で、どの神経が弱い」「状況と、はたらく神経がかみ合ってない」といった視点から問題点を認識し、治療計画を立てやすくなると思われます。
「今ここ」神経系エクササイズ 「はるちゃんのおにぎり」を読むと、他人の批判が気にならなくなる。
浅井咲子 (著), 大越京子 (イラスト)
出版社 : 梨の木舎
ISBN-13 : 978-4816617072
上記本を紹介されました。
神経発達には5感が大事。触ったり、握ったり、聞いたり、見たり。
子供だけでなく、大人でも効果はあるそうです。
まとめ
自律神経は3種類あるとの説、それがポリヴェーガル理論。
これを意識しながら診察することで、PTSDなどのトラウマを抱える患者さんにアプローチしていく。
それが最近の主流となりつつあるようです。どんどん勉強、取り入れていこう(・ω・)
以上。