【心理学ネタ】~IQの調べ方~
WAIS・WISCとは?ウェクスラー式知能検査の特徴、種類、受診方法、活用方法のまとめ 2016/5/17
ウェクスラー式知能検査は、児童期や成人期において最もよく使われる知能検査のひとつです。
1938年刊行のウェクスラー・ベルビュー知能検査を起源とする、70年以上の歴史を持つ知能検査です。児童期や成人期においては、現在の日本において最もよく使われる知能検査のひとつです。
(※補足:児童の場合、「田中ビネー知能検査」、「KABC心理・教育アセスメントバッテリー」など他の検査もよくつかわれます。)
WAIS-III
日本文化化学社 WAIS-III成人知能検査
精神科領域、成人の方を対象とする場合には上記検査がよくつかわれます。
対象年齢は16~89歳。
検査時間は60~95分(実際にはもっとかかることもある。結構大変!)
検査の内容と、分かること
ネットで「IQ テスト」とかで検索すると、ちょっとしたパズル問題が出てきて、解き終えると「あなたのIQは〇〇!」などの結果が出る、怪しげなサイトが色々見つかると思います。
しかし実際の知能テスト(WAIS-III)においては、そう単純・短時間ではありません。
確かにパズルや計算問題なども有りますが、言葉の意味、類似性についての口頭問題や、積み木を組み立てる問題など、実に色々な課題があります。
解けたかどうかだけでなく、回答に要した時間、取り組む際の視線・言動なども重要な所見です。
そうして得られた結果をもとに、能力の高さ、得意不得意、などを導き出します。
大きく分けて
全検査IQ(Full scale IQ)
個人の全般的な知的機能の水準を推定する、全般的で概括的な値。
言語性IQと動作性IQを合わせたもの。
言語性IQ(Verbal IQ)
獲得された知識、言語的推理、言語刺激への注意。
動作性IQ(Performance IQ)
流動性推理、空間的処理、詳細な部分への注意、視覚運動統合。
下位項目として
言語理解(Verbal Comprehension)
言語性IQと比べて、より精密で純粋な言語理解の測度。
知覚統合(Perceptual Organization)
動作性IQと比べて、素早い回答には重きを置いておらず、流動性推理と視空間問題解決のより精密な測度。
作動記憶(Working Memory)
情報に注意を向け、短期間保持し、記憶の中でその情報を処理して回答することを要求されるような課題。
WAIS-Ⅲでは、特に言語性の作動記憶を測定。
処理速度(Processing Speed)
視覚情報を素早く処理する能力の測度。
処理速度と知覚統合の群指数を比較することで、視空間的推理や問題解決における速さが要求されることの影響を明らかにすることができます。また、処理速度の群指数は様々な神経心理学的な状態に鋭敏な尺度であることが研究により示されています。
発達障害の診断のためにWAIS-III知能検査を受ける意味はなんですか? 2020年1月10日
発達特性の問題をみる上で、WAIS-IIIを行う理由は、2つあります。
1つはその人の知的な能力の得な分野とそうでない分野に差が大きいのかということ。これは、診断的な有用な情報になります。
2つ目は、こちらのほうがより重要ですが、この患者様が何が得意で、何が不得意なのかがよくわかる点です。これは、どのように得意なことを生かした人生を歩むかということを考えることに繋がります。
まとめ
最初の方の参考URLを見ての通り、知能検査においては時間、料金ともそれなりの負担を求められます。
検査にあたっては「何を知りたいのか」「その結果をもとに、何に役立てるか」と、検査目的を明確にしておくことが大事です。
ちなみに「自分の頭が良いのか悪いのか知りたい!」って動機だけでは受けられないことがあります。(この検査は一度受けてしまうと「答えを覚えてしまう」ことになり、本当に検査が必要になった際に不正確な結果が得られてしまう可能性があるためです。心理検査に限らず、あらゆる検査は”不必要な人まで受けると、誤った解釈につながる”恐れがあります。)
逆に「主治医から検査を勧められたけど、こんな面倒くさい検査受けたくない…」と思った方は、ぜひ「検査を受けるメリット」について、主治医の先生に突っ込んで聞いてみて下さい。大変な検査ではありますが、その分「正しい診断につながり、最も適切なサポートにつながる」ということを優しく詳しく教えてくれると思います。
以上。