医局日記

【抄読会】~双極性障害に使うお薬の変遷、アメリカでは~

syoudoku_kai

(`・ω・)「今日は僕の発表です!プリントみんな行き渡ったかな?」
(`・ω・)「The Amerikan Journal of Psychiatryというアメリカの雑誌から。無料で読めます」

20-Year Trends in the Pharmacologic Treatment of Bipolar Disorder by Psychiatrists in Outpatient Care Settings
Taeho Greg Rhee et al. The Amerikan Journal of Psychiatry 2020;177:706-715

(`・ω・)「”双極性障害(躁うつ病)について、外来通院で使われるお薬、20年間の変遷”を扱ったものです」
(`・ω・)「データ量が凄いですね、20年間分、たくさんの病院、データをかき集めたみたい」
(`・ω・)「では早速結果から。Figure(図).1をご覧ください」

:Second Generation Antipsychotic(新規抗精神病薬)
:気分安定薬(リチウム + それ以外)
:リチウム
:リチウム以外の気分安定薬(抗てんかん薬)

(`・ω・)「日本の場合もそうだけど、かつては”気分安定薬”が第一選択でした。」
(`・ω・)「ところが90年代までは10%の使用率だったSGA(抗精神病薬)が、今やトップクラスの使用率です」
(`・ω・)「そして次にお見せするFigure.2は、”抗うつ薬”が使われる場合についてのデータです」

AD:Anti Depressant(抗うつ薬)
MS:Mood Stabilizer(気分安定薬)
AP:Anti Psycotic(抗精神病薬)

(`・ω・)「びっくりしたのが、オレンジの”抗うつ薬単剤”ですね」
(`・ω・)「ガイドラインにもありますが、”双極性障害(躁うつ病)”への抗うつ薬投与は原則として避けるものです」
(`・ω・)「特に抗うつ薬単剤投与って、日本では禁忌と考えられてきました。うつ症状が良くなっても気分が不安定になってしまうため、全体として症状悪化する危険が大きいからです」
(`・ω・)「どうしても抑うつ症状が酷い場合、他の薬と併用というかたちで使われることはあるのですが…」
(`・ω・)「それにしても、単剤投与も含めて結構強気に使われていることにびっくりしました」

(´-ω-)「アメリカでは”併存疾患”についても熱心に扱われるので、その違いかもしれませんね」
(´-ω-)「日本では主病名が重視され、主病名に対する治療薬を”主剤”として軸にしますが」
(´-ω-)「精神疾患においては、併存症も多いものです。双極性障害と不安症、とか」
(´-ω-)「そうした総合的な判断から、こうしたお薬の使われ方になっているのでしょう」

(`・ω・)「ちなみに日本うつ病学会のガイドライン2020(リンク)、オンラインで読めます」
(`・ω・)「ぜひ読んでください。最新のお薬まで言及されてますよ!」



気分障害圏(うつ病、双極性障害)は非常に多い疾患であり、治療法も日進月歩です。
医療関係者においては常に最新のガイドライン、確認しておきましょう。