【精神療法】~アサーション~
精神療法 第46巻3号 アサーション・トレーニングと心身の健康
出版年月日 2020/06/05
ISBN:9784772417686
アサーションとは
Wolpe&Lazarus(1966)により開発された行動療法の一技法、”assertive training”が原型。
臨床では”アサーション”と呼ぶことが多いです。発音しやすいんで。
”アサーティブ(assertive)”という単語は直訳すると「断定、独断」ですが、ここで意味するところは
「きちんと伝える、きちんと自己表現する」というものです。
企業、学校などでも
精神科でなければ受けられない特殊な治療法、でも何でもありません。
一種のコミュニケーション技術・方法論です。誰でも学べますし、生活に役立ちます。
”アサーション””アサーティブ”でネット検索してみると分かりますが、ビジネス系のwebサイトが沢山ヒットします。
対人関係を円滑にできるスキルとして広まっており、研修として取り入れている企業や学校もあるようです。
アサーションにおける心得
まず失敗例から見た方が理解しやすい。
「何で言われた通りやらないのか、約束を守れ」
「やる気が無いのか、何じゃその目は」
「こっちの気も知らないで」
「あ、もう良いです」
…こうしたギスギスしたコミュニケーションが起こってしまう原因として、
・相手を尊重していない
(約束を守れなかった相手にも、それなりの事情があるハズ)
・自分、相手の感情を軽んじている
(自分の感情を具体的に伝えていない、相手の感情を勝手に解釈している)
・自分を尊重していない
(納得しないまま自分の意見を引っ込めてしまっている)
など、誰しも陥りがちな癖があるためだ。こうした癖を修正し、
「自分も相手も尊重する」
空気を作るのがアサーションである。
DESC法
D:事実
×「おい約束が違うぞ、何の話かわかってるよな」
〇「〇〇時までに提出してもらう書類が、まだ届いてないよ」
E:自分の感情
×「舐めてんのか、やる気無いのか」
〇「提出が遅れている理由を教えてもらわないと、こっちも身動きが取れず困る」
S:相手への提案
×「死ぬ気でやれ、何とかしろ」「もういいお前には期待しない」
〇「●●時までなら何とかなるが、間に合う?」「無理なら私が代わるから、こっちの仕事やっといてくれないか?」
C:提案受け入れor拒否 に対しての回答
「ありがとう。事情聞くのは後で良いから頑張ろう」「今できることを考えよう。意見あれば言ってくれ」
現実では互いに余裕なくぶつかり合ってしまう、一方的に押すor退くことも多いと思いますが、
言葉遣いを少し工夫するだけでも随分、コミュニケーションの円滑化、ストレス軽減につながります。
まとめ
コミュニケーションに正解はありません。相手によって、場面によって何が良いか悪いかは変わります。
大事なのは「振り返る」こと。
”あのとき、こう言った方が良かったかな?”
”あんな事言われたけど、相手にも何か事情があったのかな?”
また、振り返りの際には
「一般化(あいつは冷たい奴だ、私は嫌われているんだ)」を避け、
「事実・客観視(今日は締め切り日だった。あの人の声は大きかった)」を重視する。
これに加えて、自分・相手の感情をきちんと尊重する。
×「こうあるべきだ、これがルールだ、あなたは間違ってる」
〇「時間を守ってもらえると私は嬉しいが、君にも事情があるなら協力するよ」
まあ、アサーションに限った話でもありませんね。
「上手に受け止め、解釈し、発信する」これ大事。
これが上達すれば、人生、随分余裕が生まれます(・ω・)