【勉強会】~便秘について~
~便秘~
精神科のお薬は、副作用で便秘をきたすものが多い。
必然的に我々精神科医は、便秘治療に対する理解が求められる。
というわけで本日のテーマは便秘症。
慢性便秘症診療ガイドライン2017 定価3,080円(本体2,800円 + 税)
ISBN:978-4-524-25575-7
上記が参考文献とのことでしたが、ネット上では読めず。買うしかないらしい。
ひとまず勉強会の内容まとめていきますが、参考文献無しで書くので今回エビデンスレベルは低いかも。ご容赦を。
器質的原因の精査
「便が出ない」≠便秘。物理的に詰まっている可能性を忘れずに。
例えば大腸がん。癌細胞が大きくなって、便が通れなくなっているかもしれない。
便秘の合併症
便秘を甘く見ると大変なことになる。
便秘が続くと、腸管の圧が高まり、様々な問題を引き起こす。
大腸憩室炎
同友会グループ 2020年4月 大腸憩室炎とは?~大腸憩室症について~
憩室は、腸管内圧が上昇することによって形成されます。後天性のものが多く、食物繊維摂取量の不足や、加齢に伴う大腸の衰え、便秘による腹圧の上昇などが要因として挙げられます。
突然死の原因
【腸活コラム】注意!便秘が血圧に与える影響とは? 2020/05/25
排便時の力みや、トイレの便座の冷えにより血圧が急激に上昇し、脳卒中や心不全、大動脈解離などの心血管疾患に繋がると研究により分かっています。便秘と血圧の関係は、高齢によりお互いがリスクとしての引き金になってしまうので、特に高齢者は便秘や高血圧に対する改善が必要になります。
「高齢者が、便秘で、真冬のトイレで、『フンッ!』」とイキんでいたら要注意!
トイレ時の姿勢
そもそも洋式トイレは腹圧が掛かりにくく、排便しにくい。
和式が良いんだけどね、最近どこにも無い。仕方ない。
便が出にくい人はとりあえず、
・前傾姿勢
・足台を使う
やってみよう。これで多少は腹圧が掛かりやすくなる。
便秘薬について
かなり大雑把だけど、病態と治療薬の関係。
忘れがちな原因が「直腸の感覚低下」。便が溜まってきて直腸が圧迫されると普通は「お腹が痛い、トイレはどこじゃー」と便意が生じる。しかし高齢になり感覚が鈍ってきた人や、普段から人目を気にしてトイレを我慢しがちな人(特に女性)は、便意が生じにくくなってしまう。
酸化マグネシウムの注意点
医療用医薬品 : 酸化マグネシウム
シーボルトが来日した時に持ち込んだ薬の一つであり、200年前から現在まで使われ続けている便秘薬。
主な作用としては、水分の吸収を抑え、便を軟らかくする。(加えて、腸管を少し膨張させるなどの刺激作用もある)
ただ、腎機能が低下している患者さんの場合、高マグネシウム血症をきたす恐れがあります。
eGFR (推算糸球体濾過量)60未満の場合は要注意。
一説によると使用中の人の23%は高マグネシウム血症だったとのこと。
血中マグネシウム濃度、忘れず検査しておきましょう。
刺激性便秘薬の使用は控えめに!
医療用医薬品 : センノシド
これもシーボルトが持ち込んだ薬の一つで、歴史的に古く現在も使われている。
こちらは腸を刺激することで排便を促すタイプの薬。
ただ、こうした「刺激性」のお薬は、毎日使ってはいけません!
基本的には週に1回程度の使用にとどめるべき、とのこと。
毎日使うと、精神面、身体面ともに依存を生じ、耐性が出来て難治性便秘症になってしまう。
新しい便秘薬を使ってみよう
慢性便秘に新薬ラッシュ―高齢化で患者増加 市場も拡大へ 2018/09/25
上記サイトに最新の便秘薬一覧が載ってますので是非。
…古いお薬を長年使っていると、患者さん側としても「今の薬のままでお願いしたい」という考えになりがちですが、先述したようなお薬の場合には、やがて問題が生じてくる可能性があります。
便秘薬も日々進歩しています。ぜひ、この機会に便秘症・便秘薬について勉強し、新しいタイプの薬を使いこなせるようになりましょう。
以上。