医局日記

【精神神経】~脳波検査入門~


金原出版 現代臨床精神医学

脳波検査とは

ドイツの精神科医、ハンス・ベルガーさんが開発した。
脳の電気活動を直接記録できる、凄い発明です。


検査の目的

脳の電気活動が正常か、そうでないかが分かる。
「てんかん」「器質性脳疾患」「意識障害の有無」「睡眠障害」などが鑑別できる。


正常脳波(成人)

基礎律動(安静、覚醒、閉眼状態での脳波)はα波(8.5~13Hz)が主体。
(あんまり尖ってない、ウネウネした感じの波)
後頭部~頭頂部ではっきり見える。開眼したり考え事をすると減衰する。
振幅・周期とも左右対称。
中心部~前頭部では少し速波が混ざることもある。振幅は50μV未満。(細かくギザギザした部分)

(脳波の手習いシリーズより 26歳女性 安静、覚醒、閉眼時 正常波形)

「ギザギザだらけで意味わからん!(><)」…と、誰しも最初は戸惑ったであろう。

たくさん波形の列が並んでいる理由は、「左右差」「部位」を確認するためです。
やたら記録が長いのは、異常な波が出てこないか誘発(過呼吸、光、音刺激)したり、電極の読み取り方を変えたりして、時間をかけて検査を行っているからです。
全ての列をじっくり凝視する必要はありません。まずざっと目を通そう。

そして「異常な波形」「左右差」の有無をチェックしていきます。
「電極の接触不良」「顔を動かした時のノイズ」などで変な波形が出ることも多い。
あと年齢によっても正常範囲が多少異なる。(小児の場合、波が遅く高振幅)
最初は慣れた先生と一緒に練習しましょう。


異常脳波

”非突発性”と”突発性”に分けられる。

①突発性異常
急に出てくる、尖ったり鋭い感じの形の波。主にてんかんの鑑別、病巣の特定に。

②非突発性異常
様々なタイプの徐波など。脳機能低下(意識障害など)の程度が分かる。


上達するには

ペーパーテストでは「この波形は〇〇病!」と丸暗記型の勉強になってしまいがちですが、実際の臨床では通じない。
レントゲンとかと同じで、まず「正常」な検査所見を沢山見ること。よくあるノイズ、正常でも見られる変な波形、などを理解すべし。
やがて「ん?ノイズにしては変だぞ、何だこれ」という所見に出くわしたとき、専門書を開いて詳しく調べる。
それの繰り返し。

コツコツ積み重ねていこう(・ω・)