医局日記

【宇宙ネタ】~金星に生命の兆候あり?~

CNN.co.jp 生命の兆候示す気体、金星で検出 地球にも存在 2020.09.17

生命活動の兆候として知られる気体を金星で検出したとする研究論文が、科学誌ネイチャー・アストロノミーに掲載された。
当該の気体はホスフィン(リン化水素)と呼ばれ、地球では可燃性の有毒ガスとされる。酸素を必要としないバクテリアが生成し、腐った魚やニンニクに似た臭いを発する。有機物の分解によっても発生する。
金星の雲は強酸性なのでホスフィンはすぐに破壊されるはずだが、14日に公開された研究チームの論文によれば、米ハワイとチリのアタカマ砂漠にある望遠鏡で観測したところ、ホスフィンの痕跡に特有のスペクトル状の兆候が検出された。


AFP BB NEWS 金星に生命の痕跡か 大気からホスフィン検出 2020年9月15日
研究チームは、ホスフィンの存在が金星上の生命の存在を証明するものでないと強調しているが、灼熱(しゃくねつ)の金星表面を渦巻く雲は強酸性でホスフィンを即座に破壊することから、金星にはホスフィンを生み出しているものが存在することが示されたとも指摘。観測結果は、金星に「変則的かつ未解明の化学現象」が存在する証拠となったと結論付けた。

NATIONAL GEOGRAPHIC 金星の大気中に生命が存在か、ホスフィンを検出 2020.09.16
アルマ観測所の科学者ジョン・カーペンター氏は、ホスフィンの観測結果自体に慎重な姿勢を示している。望遠鏡がとらえたデータからごく微弱なシグナルを取り出すためには、膨大な処理作業が必要だった。その処理によって、ホスフィンと同じ周波数の人工的なシグナルが取り出されてしまった可能性がある。


(・ω・)つまり、
誤検出の可能性も否定できないし、未解明の化学現象という可能性もあるので、生命体が存在する確かな証拠、とは言えないようです。今後の調査に期待。


【金星探査について】

JAXA 金星探査機 あかつき
2010年5月21日(日本標準時)に種子島宇宙センターから打ち上げられ、2015年12月7日、日本の探査機として初めて地球以外の惑星を回る軌道に入ることに成功しました。
金星と地球は、ともに約46億年前に誕生したと考えられています。その頃の金星には地球と同じように海があったかもしれません。しかし現在の金星には海はなく、二酸化炭素の厚い大気に覆われています。
金星の環境の成り立ちが分かれば、地球が金星のようにならずに、温暖で湿潤な生命に溢れる星となった理由が分かるはずです。また金星大気の流れを説明する金星の気象学ができれば、地球の気象学と合わせてより普遍的な惑星気象学ができると期待されます。

一時はエンジントラブルでミッション失敗が危ぶまれるも、別コースから到達に成功。
設計寿命は4.5年ということで既に賞味期限切れているにも関わらず、現役でミッション継続中。

JAXA凄い。