医局日記

【精神神経学】~てんかん重積発作の初期対応~



てんかん診療ガイドライン2018
てんかん学ハンドブック より。
薬剤投与量は患者さんの体重にもよるけど、ここでは成人50kgと仮定。

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てんかん重積発作とは

てんかん発作は通常1~2分で停止することが多い。
5分以上続けば早期てんかん重積状態(Early SE)、と判断し、治療開始。
ベンゾジアゼピン系薬剤を使っても30分以上続くなら確定てんかん重積状態(Established SE)、長期的な後遺障害を残す可能性が出てくる。
抗てんかん薬を使っても60分以上続くなら難治てんかん重積状態(Refractory SE)、
全身麻酔を使っても24時間以上続くなら超難治てんかん重積状態(Super-Refractory SE)という。


初期対応

まずは静脈確保しブドウ糖投与。血糖チェック。
第二段階に備えて酸素投与、心電図モニター等も用意しよう。
ジアゼパム(セルシン(R)、ホリゾン(R))1A(10mg)を希釈せずに静注投与(筋注投与は効果発現が遅く非推奨)。5~10分毎に投与するが呼吸抑制に注意。
静脈確保が困難な場合はジアゼパムorミダゾラム(ドルミカム(R))注腸投与。


第二段階

ホスフェニトインorフェノバルビタールorミダゾラムorレベチラセタムを静注投与。
(フェニトインは下記副作用の観点からか、ガイドラインのフローチャートには記載なし)

フェニトイン(アレビアチン(R)):1~3A投与。希釈せず、緩徐に投与する必要あり、血管障害の副作用リスクあり細い血管からの投与は避けたい。効果発現まで20分かかる。呼吸抑制は無いが心不全リスクあり、バイタル・心電図モニター必須。
ホスフェニトイン(ホストイン(R)):1.5A投与。中性なので副作用が少なく即効性もある。フェニトインと有効性の差は無いとのことであり、在庫があるならこちらを推奨。
フェノバルビタール(フェノバール(R)):3A投与。これを使うなら呼吸抑制に注意し、事前のジアゼパムは2Aまで。
ミダゾラム(ドルミカム(R)):麻酔薬。呼吸抑制は起こしにくい。半減期が短いので、無効だったら直ちに別の薬剤へと切り替えやすい。
レベチラセタム(イーケプラ(R)):副作用も少なく即効性がある。ただし保健適応外?らしい。


第三段階

ここまでやっても60分以上発作が続く場合、気管内挿管・人工呼吸が必須。
少なくとも精神科医がこれ以上粘るべきではない!直ちに集中治療室へ!


発作が止まったら…

原因検索!血液検査、脳波、頭部CT/MRIを。


2018年なので多分、最新の情報と思いますが…違う点あったらご指摘願います。