【研修医向け】~紹介状の書き方~
他の病院とのお手紙のやり取りは医療従事者としての大事な仕事。
かくいう私も、これまで100通以上は書いたと思う。
紹介状の書き方について、この場を借りて一度復習してみよう。
宛名 ~先生侍史?御机下?~
「侍史」は秘書、「机下」は机を指します。実は御をつける「御侍史」、「御机下」は誤りです。
研修医の立場としては、皆さんが使う脇付は目上に送る「侍史」に一本化しておくことをオススメします。
また特定の先生宛ではない場合は、「外来担当医先生」と書くのが通例です。連名の際の上下関係は左が上司、右が部下です。
診断名 ~記載する順番~
#1には入院契機となったメイン病名を、#2以降は重要度の高い合併症を2つ3つに絞って記載しましょう。いろいろと合併症が多い症例はどうしても病名が増えてしまいますが、できるだけ1行で、最悪でも2行以内にまとめましょう。
はじめの挨拶
簡潔さが求められます。「いつもお世話になっております」か「平素より大変お世話になっております」といった最低限の礼儀を示す一言で十分です。「拝啓、時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます」といった書き方は悪目立ちしちゃいますので避けましょう。
内容のまとめかた
本文スペースに入る文字数は限られています。簡潔にまとめましょう。難しい症例であれば報告すべきことも多く、自分が苦労して治療した経緯もいろいろと書きたくなってしまうでしょうが、だからといって文字サイズを小さくしたり、何枚にもわたる紹介状を送るのは、マナー違反です。退院時サマリーを添付して、そちらを参照してもらいましょう。
処方や検査結果の欄は「別紙ご参照ください」を基本にして、プリントアウトした紙を添付しましょう。
【ついでに】 ~精神科の紹介状の場合~
以下、参考資料
精神科・心療内科の転院では、なぜ紹介状が必要? 2020年08月09日
どうしても内容が長くなる。
心療内科や精神科の場合は、生活歴からこれまでの治療経過を振り返りながら書いていきますので、作成に時間がかかります。診断や現在の治療内容はもちろんのこと、患者さんの生い立ち、発症の状況、病気の経過、患者さんの特徴など…自分の知っていることは次につなげて欲しいと思って詳しく紹介状を書きます。
病歴は、患者さんの財産。
心の病気は、一時点で診断することはとても難しいのです。長い経過の中で症状をみていき、患者さんを把握できるようになってはじめて病名を診断することができます。これまでの病気の経過は、患者さんにとっては財産なのです。
目的を明確化すべし。
それでも過剰に書きすぎるわけにはいかず、読みやすく纏める工夫は必要。診断名を書く場合は、DMS-5など”操作的診断基準”による診断名を記載する。「神経症」など伝統的(古い)診断名の方が伝わりやすい、という場合には併記することも。
主訴、紹介目的を明確に書く。「希死念慮」など重大な症状があるなら、診断名よりも最初に書いた方が、切迫感が伝わる。
他科に紹介する場合…
身体科の医療スタッフは、”精神科の患者”に検査や処置を行うことに不安を抱いていることが少なくない。(偏見と責めるわけにもいかない。向こうも責任ある立場なのだから。)対応に注意を要する患者さんの場合、事前にきちんと知らせておくこと。
以上。