医局日記

【勉強会】新型コロナウイルスと精神科

https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/activity/COVID-19_20200625.pdf

2020 年 6 ⽉ 25 ⽇
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流⾏下におけるメンタルヘルス対策指針 第1版


本日は抄読会ではなく勉強会。”新型肺炎と精神科”のテーマでした。
最近、日本精神神経学会から正式に指針が発表されましたのでご紹介。(PDFファイルです)


前半は、
「ずっと自宅で運動不足、孤立、収入減る、コロナ怖い」→「みんな不安になりメンタル病む」
という内容について書かれています。(そりゃあ当然でしょう。)
精神科に携わる方々においては、一応目を通しておきましょう。

とは言え時間が無い方も多いと思いますので、
私が「なるほど」と感じたポイントについて要約・ピックアップします。


健康的な⽣活を維持する

ルーティンが崩れがちであるが、睡眠や⾷事のリズムを維持し、規則正しい⽣活を保つべし。可能な限りそれまでの⽇課や習慣を継続し、⾃宅でできる運動を取り⼊れる。
(⾃宅で過ごす時間が⻑くなることで、アルコール摂取量が増加しないように注意!)


情報過多を避ける。テレビ・ネットは控えめに!

過剰に情報に触れると、むしろ恐怖や不安が増⼤する。厚⽣労働省や⾃治体等の信頼できる情報源にとどめること。ニュースやソーシャルメディア等に接する時間は控えめに。できれば視聴する時間帯を決めておこう。


他者とのつながりを保つ

電話やソーシャルメディア、オンラインのツール等を活⽤してつながりを保とう。⽀えになる⼈とのやりとりはストレスの軽減に役⽴つ。罹患者や⾃宅待機者についても、家族や親しい⼈とのコミュニケーションを維持することは孤⽴感や孤独感を和らげる上で有⽤である。


リスクコミュニケーションを意識しよう

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/01_00001.html

厚生労働省 リスクコミュニケーションとは

・定期的かつタイムリーな情報提供
・分かっている情報を明らかにし、最新の情報がある場合にはそれを提供
・憶測や偽りの約束を避ける
・常に誠実であること
・繰り返しメッセージを伝える必要性を予測すること


遺族への⽀援

COVID-19 の死別は、突然で予期しない死別となる。看取りもできず遺体に直⾯することもなく、死別を実感することが遺族にとっては困難。このような状況はしばしば遷延化した悲嘆のリスクとなる。喪失を実感できない場合には、”あいまいな喪失” として受け⽌められ、悲嘆が凍結した状態を⽣じる可能性もある。複雑な医療情報を伝えることは家族を圧倒してしまうために注意が必要である。シンプルで分かりやすく、家族にとって役⽴つ情報を慎重に選択することが必要である。また、家族から⾮難を向けられることがあるかもしれないが、それらの気持ちに寄り添い、可能であれば、必要時に利⽤できる相談先や資源を知っておくことも役⽴つ。


COVID-19 対応者が直面するストレス

以下の状態に注意を要するとのことです。
(日本語での定義が定まっていないみたいです。今回は単語の紹介にとどめます。)

代理受傷 (vicarious traumatization)

共感疲労(Compassion Fatigue)

道徳的負傷 (moral injury)




遠隔⼼理⽀援の注意点

家族が家にいることでプライベートな空間が確保できない場合や、家庭内暴⼒や虐待等の問題がある場合には特に、相談環境が適切であるかを常に確認するべし。オンラインでは双⽅の表情が読み取りづらいため、⽀援者⾃⾝は対⾯以上に表情や声のトーン等の⾮⾔語的なコミュニケーションへの配慮が必要である。また、⽀援対象者が⼀⽅的に打ち切られたと感じることがないよう、⾯接の継続や終了、また各セッションの終了(ログアウト)を明確に伝える等の配慮も重要となる。



まとめ

・家でも出来る運動を!ダラけてお酒に溺れないように。
・テレビやネットでコロナ情報ばっかり追いかけても不安になるだけ。情報源は絞ろう。
・家族や友人と、会えないからこそ小まめにコミュニケーションを。
・その他は各自勉強すべしっ。未曾有の事態なので皆メンタルやられるのは必須。病んでからでは遅い。今のうちに予防と備えを!


以上。