医局日記

精神科と運転免許

http://www.seiwa-pb.co.jp/search/bo01/bo0102/index.html

星和書店 精神科治療学 第35巻05号 《今月の特集:精神科医療と自動車運転の現在・未来》
より抜粋

わが国では6種類の抗うつ薬を除いたほぼ全ての向精神薬の添付文書において、服薬中の自動車の「運転中止」を求めているという現実がある。病状が安定し、社会参画をしようとする患者の第一歩を阻む大きな壁になっている。(P.457)

諸外国の向精神薬と自動車運転に関する添付文書の記載について述べると、明らかに記載文言は非制限的である。142品目の向精神薬について、米国、英国、オーストラリア、カナダ等ではいずれも「禁止薬」としての記載は皆無。(P.477)

現時点で、業務上運転可否を判断する方法について、ゴールドスタンダードは存在しないのである。(P.483)



https://cocoromi-cl.jp/knowledge/other/drive/medicine-drive/

元住吉こころみクリニック 精神科・心療内科のお薬を服用中でも運転はできる?

お薬の影響や病気の症状で「運転に支障がある」と判断された状態で事故をおこした場合、『危険運転致死傷罪』が適応され、通常より厳しい罰則になります。症状やお薬で運転に制限のかかりやすい精神疾患の患者さんにとって、風当たりが強い内容になってしまっています。

「精神科の治療をしている限り運転はできないのか」と憤りを覚える方も少なくないかと思います。
その憤りは、実は処方している医師側も持っています。『日本精神神経学会』でも、「向精神薬服用中の画一的な運転禁止」に対しては一貫して反対の姿勢を示してきました。



https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninchi.html

運転免許の更新等運転免許に関する諸手続きについて > 認知機能検査について

75歳以上のドライバーは、高齢者講習の前に認知機能検査を受けなければならないこととされています。

時間の見当識、手がかり再生、時計描画という3つの検査項目について、検査用紙に記入して行います。公安委員会(警察)又は委託された教習所等で受けることができます。検査の実施は、約30分ほどで終わります。
点数に応じて、
「記憶力・判断力が低くなっている(認知症のおそれがある)」
「記憶力・判断力が少し低くなっている(認知機能の低下のおそれがある)」
「記憶力・判断力に心配がない(認知機能の低下のおそれがない)」と判定が行われます。

「記憶力・判断力が低くなっている」との結果であった場合は、臨時適性検査(専門医による診断)を受け、又は医師の診断書を提出することになります。認知症であると診断された場合には、聴聞等の手続の上で運転免許が取り消され、又は停止されます。


https://www.police.pref.saga.jp/menkyo/_5368.html

佐賀県警察本部 自主返納(運転経歴証明書)のご案内

運転経歴証明書

運転免許証のかわりとなる、身分証明書的機能を有するものです。
運転経歴証明書を提示することで交通機関の割引サービス等を受けることができます。


【まとめ】

精神科のお薬を飲んでたら「運転禁止」…とあるが、飲まないと病気が悪化して運転どころではなくなる。なので現状としては、「自己責任で」飲んでいただくしかありません。諸外国に比べて日本が厳しすぎるのかもしれませんが…。
認知症が疑われる場合は、必ず検査を受け、認知症の精査をしてもらう必要があります。
運転免許の自主返納制度がありますので、自信のない方は、事故のないうちに返納しておくのが良いかもです。