医局日記

【数学ネタ】その2 ~数学を好きになろう~

「数学が好きだ!」という人は、あまり多くないと思う。
が、研究分野における統計学、近年活発なAI(人工知能)における線形代数、など、
科学の発展において数学は最重要学問、という事実。
勉強しようではないか、数学を。

で、勉強するにおいて一番大事なのは「楽しむ」こと。
まず楽しもうではないか、好きになろうではないか、数学を。


【抽象化の凄さ】

数学とは「抽象化」の学問である。
何が凄いかって、数学的に「正しい」ことは、「未来永劫にわたって正しい」ことになる。
科学には実験と検証がつきものであり、新たな発見によって定説が覆されてしまうことも時にある。
けれど数学における発見は、永遠に人類の役に立つ財産となる。
実験室も研究道具も必要ない。紙とペンすら要らない。ひらめき一つで宝物が見つかるのだ。


【微分、積分】

多くの高校生が脱落する関門。「こんなの何の役に立つんだよ!?」
逆です。微分積分こそ、実社会の利便に直結する、超実用的なものです。
隣町まで移動する太郎君は、実際にはスタート直後から時速4kmで動き出せるわけがない。
飛び上がった飛行機は、燃料を消費していくため刻一刻と重さが変化していく。
次の駅の停止位置に正確に止めるために、どの地点で電車はブレーキを開始すれば良いのか?

それを扱うのが微分積分なのだ。超便利だぞ。


【行列】

wikipediaより画像拝借。

多くの理系学生が「自分は理系じゃなかったのか…」と脱落したであろう(カッコ)の悪夢。
これは「一度にまとめて計算し、一気に答えを出す」ことが出来るという、すごい発明なのだ。
AならB、CならD、DならE…という途方もない計算が、A,B,C → D,E,Fと一発で解決してしまう。
人工知能分野のプログラミングにおいては、その有用性に驚かされることになる。


http://www7b.biglobe.ne.jp/~math-tota/suA/euclid.htm

より画像拝借


【実際、役に立ちました】

リーマン幾何学というものがある。
三角形の角度の和は180度になる。中学生で習う内容。

「でも球上に描いたら90度+90度+90度=270度になるじゃーん?」

だからどうしたという超屁理屈理論。こんなの何の役に立つんだ?

アインシュタイン「使わせてもらうで」

アインシュタインは重力を「引き寄せる力」ではなく、「空間の歪み」であると解釈した。
そもそも空間が平面とは限らん、というリーマン幾何学を取り入れることで、一般相対性理論が完成した。
今日もカーナビが正確に位置を示してくれるのは、相対性理論のお陰である。



【フェルマーの最終定理】

330年という時と、数多の数学者達が犠牲となった、悪魔のような定理。

「n=3なら成り立つぞ!」
「n=5も解明できた」
「逆に”成り立たない”と仮定して、矛盾が分かればいけそう」
「あれ、関係ないジャンル同士だと思ってたら繋がった」
「この”条件”が正しいと証明されればゴールだ!」

名だたる数学者達が人生を賭して挑戦し、次の世代へとバトンを渡しながら、徐々に真実に迫っていった。
壮絶なドラマである。興味ある人は是非。


…いかん、臨床統計学の勉強に戻ろう。
以上!