医局日記

自立支援医療について解説

主に学生さん、研修医向けに。自立支援医療制度について。
精神科においては常にお世話になる制度です。

https://snabi.jp/article/107

LITALICO 仕事ナビ 自立支援医療(精神通院医療)ってどんな制度?

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/index.html

厚生労働省 自立支援医療


【概要】
特定の疾患・治療において医療費の負担が減る制度。
精神科の場合には、主に通院治療において利用されます。
(更生医療(身体障害に対する治療)、育成医療(18歳未満の身体障害に対する治療)もありますが、今回は精神科に絞って解説します。)

【対象者】
精神通院医療:精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症などの精神疾患を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する者
ちなみに精神保健福祉法第5条…「「精神障害者」とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう。」

【負担額】

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厚労省のサイトから、表の一部のみ抜粋。
「3割負担→1割負担」になります。上限額が決まっていて、患者さんの所得によって異なります。
(一定所得以上の場合、”重度かつ継続”でなければ、1割負担の金額が上限となります。)
「所得区分」については市町村税の額によって決まります。


【重度かつ継続】

(1)病状性を含む器質性精神障害(F0)
(2)精神作用物質使用による精神及び行動の障害(F1)
(3)統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害(F2)
(4)気分障害(F3)
(5)てんかん(G40)

上記疾患が該当します。
(F~)とは、WHOのICD-10(国際疾病分類第10番)の分類コード名です。


【具体的には】

例えば、月あたりの上限額が5,000円と設定されている場合に、病院の診療で1,500円、薬局の処方で7,000円、合計8,500円の費用が発生したとします。このとき上限額は5,000円と設定されているため、超過した3,500円については公費で支払われることになり、自己負担にはなりません。
”入院しないで行われる医療(通院医療)”が対象のため、デイケア等の料金も含まれます。
あくまで”精神科の”治療なので、「どうせ1割負担になるなら、ついでに風邪薬とか便秘薬も処方してもらいたい、レントゲン撮ってもらいたい」…というのは通用しません。関係ないお薬、治療については3割負担です。


【申請において】

市区町村の障害福祉課などが窓口になります。

必要な書類は…
・申請書(支給認定申請書)
・主治医の診断書
・世帯所得が確認できる書類(課税証明書・非課税証明書や生活保護受給証明書など)
・健康保険証
・マイナンバーが分かるもの
になります。

自治体の定めた「指定医療機関」の中から病院と薬局を指定し、そこでのみ制度の適用が受けられるようになります。
申請後、受給者証が送られて来るまでは少し時間がかかります。でも届くまでの期間で負担した医療費は払い戻しを受けられますのでご安心を。
なお永続的なものではなく、1年ごとに更新が必要になります。


医療においては様々な制度があります。
関係者各位、患者様においては、必要となる制度を理解し、適切に利用していきましょう。

以上。