【医学生各位】今年の医師国家試験について
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/ishi/
医師法(昭和23年法律第201号)第10条第1項の規定により、第115回医師国家試験を次のとおり施行する。
令和2年7月1日 厚生労働大臣 加藤 勝信
試験期日 令和3年2月6日(土曜日)及び7日(日曜日)
新型肺炎流行中ですが、一応開催予定となったようです。
勉強大変だとは思いますが、一生役に立つ知識、一生支えとなる自信が身に付きます。
がんばってください!(・ω・)
せっかくなので医師国家試験過去問、精神科領域について解いてみる。
第113回 F-63
34 歳の女性(1妊1産)。産後2週の妊産婦健康診査を希望して、分娩した産科診療所に来院した。2週間前に第1子である 3,150 g の男児を経腟分娩した。来院時の体温 36.5 ℃。脈拍 80/分、整。血圧 126/76 mmHg。尿所見は蛋白(-)、糖(-)。内診で子宮復古に異常は認めず、悪露も正常であった。母乳哺育を行っているが、うまくできているかとても心配で毎日よく眠れない。育児は全く楽しくなく、ときに自分を傷つけたいとの思いが浮かぶという。日本語版エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)への自己記入の結果、合計点数は 12 点(基準 8以下)であった。
この時点の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
a 抗精神病薬を処方する。
b 精神科への受診を提案する。
c 児と分離することを目的に入院させる。
d 本人の同意を得て市町村に患者情報を伝える。
e 母乳哺育を中止し人工乳哺育にするように指導する。
産後うつ、をテーマとした問題ですね。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp190415-01seitou.pdf
解答はコチラ(F063の欄)。
専門的な解説をしようとするとボロが出そうなので、邪道な解説で。
「〇〇の治療を開始」「専門医に紹介する」が並んだら、「専門医に紹介」が鉄則。専門外の治療を勝手に始めるべきではない。
よって ×a. 〇b.
「本人の同意を得る」という選択肢が×になることは、ほぼ無い。
よって 〇d.
「休ませてあげる、という意味でc.とe.は良いと思うんだけど、ダメなの?」と思ったアナタ。
そもそも不安を抱えた出産後の女性を、「主治医一人の判断で指導するべきではない」というのがこの問題のテーマなのだと思われます。こうしたハイリスクな人は、様々な支援機関、支援者の力を借りて、みんなで対応を考えていくのがベストです。ただし注意すべきは「個人情報」。相談ありき!と思って患者さん本人の意向ガン無視はダメ。
d.の選択肢を正答として選ばせる、というこの問題、医療者としての倫理観を問う、かなり鋭い良問だと思いました。
以上。