医局日記

検査…感度と特異度についての復習

私自身、十分な知識を有している自信に乏しいため突っ込まれるとボロが出そうなので、あくまで簡単な復習として…


https://bellcurve.jp/statistics/course/14802.html

統計WEBより。


感度…実際にその病気に罹患している人の中で、検査で陽性になった人の割合のこと。

特異度…その病気に罹患していない人の中で、検査で陰性になった人の割合のこと。


理想的には、感度・特異度が両方とも100%近ければ、病気の見落とし無く、結果が陰性なら安心、ということになります。

ただ現実的には、そうした検査は存在しない。必ず偽陽性、偽陰性が出ます。


感度が高い・特異度が低い検査だと…

・陽性 → 病気の可能性はあるが、病気でない(偽陽性)可能性もある。

・陰性 → 病気でない(真陰性)可能性が高い。おそらく安心。


感度が低い・特異度が高い検査だと…

・陽性 → 病気である(真陽性)可能性が高い。やばい。

・陰性 → 病気でない可能性はあるが、病気(偽陰性)の可能性もある。油断すんな。


無理やり擬人化して考えると、

感度が高い先生は「疑わしければ陽性!」という心配性

特異度が高い先生は「陽性なら見逃さんけど、迷ったら陰性で。」という慎重派

ってところか。

検査、治療法が簡易かつ安価なら、感度が高い検査をガンガン行うべき。

検査も治療も、医療資源が限られている・高価なら、特異度が高い検査で本当に治療が必要な人に絞り込むべき。


では、現在流行しているCOVID-19の場合はどうか?


https://www.jrs.or.jp/modules/information/index.php?content_id=1468

https://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/information/20200325v1.220200323.pdf

日本呼吸器学会

COVID-19 に関する一般的な質問に対する現時点での文献的考察 2020/3/25 より


58 例の年齢一致コホートで 4 人の米国の放射線科医が COVID-19 を非 COVID-19ウイルス性肺炎と区別する精度は 97%(95%CI:88-100%)、88%(95 CI :77-95%)、83%(95%CI:71-91%)及び 84%(95%CI:73-93%)であり、感度は 70〜93%、特異度は 93〜100%でした。


とのこと。

PCR検査については言及が少ないですが、少なくとも感度が低い・特異度が高い、のが現状のようです。


58 例の年齢一致コホートで 4 人の米国の放射線科医が COVID-19 を非 COVID-19
ウイルス性肺炎と区別する精度は 97%(95%CI:88-100%)、88%(95 CI :77-95%)、
83%(95%CI:71-91%)及び 84%(95%CI:73-93%)であり、感度は 70〜93%、特異度
は 93〜100%でした。


無症状の感染者も多い事、重症化した場合は集中治療室・人工呼吸器を要するなど医療資源が限られていることを考慮すると、

「有症状者に絞り込んで検査を行う」

「陰性でも安心できないんだから、全国民が感染リスクを抑える努力を」

という現状の対応は、概ね妥当なのではないかと。


ただ前代未聞の事態ですから、本当の正解が何であるのか、事態が収束してからでないと結論は出せませんね。



以上。