抄読会(担当:石井)
Behavior and Severe Neuropsychiatric Disorder Following Glucocorticoid Therapy in Primary Care
Laurence Fardet et al.: Am J Psychiatry 2012;169:491-497.
ステロイドの全身投与を受けた患者に自殺行動や重篤な精神障害が多いことはあまり知られていない。著者らは、イギリスのTHIN(健康づくりネットワーク)をのデータベースを利用し、プライマリケアにおいて、ステロイドの傾向内服をしている患者の、精神疾患発生のリスクを検討た。対象は、約3万7千人のステロイド投与患者で、その約4倍の非投与患者が対照にされた。
ステロイド治療を受けた患者では、非投与患者に比べて各精神障害の発症リスクが、うつ状態で約2倍、そう状態・せん妄状態・混乱・見当識障害が約4-5倍、自殺・自殺企図が約7倍であった。また、女性ではうつ状態、パニック障害、自殺企図が男性に比べて多く、年齢別にみると若年でパニック、自殺企図が多く、高齢でせん妄、そう状態が多くなることが分かった。
精神疾患の既往があると、ステロイド治療後に同じ精神障害が惹起されやすいことがわかった。
ステロイド治療による精神障害に関して、プライマリケア医は患者および家族に十分な説明を行い、注意深い観察をすることが重要である。